ウェブで何かを売ろうとするとき、一番難しいのは「最初の1件」ですよね。
商品がいいとか悪いとか、値段がどうとか、そういうことももちろん大事なんですけど、そもそも見てもらえなければ、何も始まらない。
絵も同じです。
今回は、画家で株式会社ナレッジアーツの代表、岡部遼太郎さんの評判と経歴を調べた記事と、ご本人へのインタビュー記事を読みました。
その中に、ウェブ集客の目線で見て、どうしても気になる話がありました。
「ネットで1週間に12枚の絵が売れた」という話です。
- 「岡部遼太郎 詐欺」と出てくると、まずは疑ってかかるものです
- 12枚の中身を見ると、まず「期間の長さ」が見えてきます
- 「自分の作品」ではなく「読む人の役に立つ情報」を書いた、というところが肝です
- アルバイトを辞めたのは「月20万円」を自力で稼げるようになってから
- 「無料講座からメールで有料の教室を案内する」流れも、ウェブ集客では王道の作りです
- 「数万円から十数万円」と書かれた価格は、実際には月額9,800円でした
- 「詐欺」と書く記事は、集客の型としてはかなりわかりやすいです
- 私がいちばん印象に残ったのは、「他の方の役に立てる」と感じたところでした
- 受講生の例も、検索とSNSからの集客でした
- 集客は会社が引き受けて、描く人は描くことに時間を使う、という発想
- まとめると、「1週間で12枚」は、数年かけた集客の結果でした
- 岡部遼太郎の評判に関する参考記事
「岡部遼太郎 詐欺」と出てくると、まずは疑ってかかるものです
「岡部遼太郎」と検索すると、「評判」と並んで「詐欺」と出てきます。
しかも、ウェブ集客を教えている、絵が売れた、という話が付いてくる。
身構えます。
「1週間で12枚」というのも、数字だけ見ると、よくある誇大広告の匂いがしなくもない。
なので、インタビューの中身を、集客の手順として分解してみました。
12枚の中身を見ると、まず「期間の長さ」が見えてきます
インタビューによると、岡部遼太郎さんが1週間で販売したのは、原画と版画を合わせて12枚。収入はおよそ60万円だったそうです。
販売サイトは使わず、ブログとSNSで自分のファンを作り、そこに向けて販売した、とのこと。
ここで大事なのは、「1週間」の前にあった時間です。
- ブログは、誰かの悩みや疑問を解決できる情報を記事にした
- 最初は、今の半分ほどの情報量の記事を、丸一日かけて作っていた
- 月間1万アクセスまでは、毎日書いて半年くらいかかった
- 失敗したサイトも含めると、数年かかっている
- 検索上位に出すための勉強とリサーチも続けた
1週間で売れたのは結果で、その前に数年分の積み上げがある。
集客の世界では、ごく真っ当な話です。
「自分の作品」ではなく「読む人の役に立つ情報」を書いた、というところが肝です
ウェブ集客の目線で一番うなずいたのは、ここでした。
岡部遼太郎さんは、ブログに自分の日常や作品の画像を載せるのではなく、読む人の役に立つ情報を書いたそうです。
これ、画家に限らず、個人がウェブで発信するときにやりがちな失敗の、ちょうど逆なんです。
多くの人は、自分が見せたいものを載せます。でも、検索してくる人が探しているのは、自分の悩みの答えです。
先に悩みの答えを出して、読みに来てもらう。そのうえで、作品を見てもらう。
基本中の基本。
その結果、ブログのアクセスは、多い月で月間19万になったそうです。
アルバイトを辞めたのは「月20万円」を自力で稼げるようになってから
もう一つ、集客を教える立場として見逃せないのが、この順番です。
岡部遼太郎さんは、卒業後、アルバイトをしながらホームページに記事を書き続け、月に20万円ほど自力で稼げるようになった頃に、アルバイトを辞めたそうです。
絵で生きていきたい人へのメッセージでも、「稼げないうちに今の仕事を辞めるのはおすすめしません。勤務時間外に、コツコツ収入の準備をしてください」と言っています。
「会社を辞めて、今すぐ始めよう」と煽るのが、怪しい集客の典型です。
その逆を言っている。
「無料講座からメールで有料の教室を案内する」流れも、ウェブ集客では王道の作りです
「岡部遼太郎 詐欺」と書く記事がよく突いてくるのが、無料講座からの流れです。
実際の流れを、インタビューから整理するとこうなります。
- 無料講座では、アクリル画の描き方の講座と、絵描きのための作品発信講座などをメールで届ける
- 登録すると、電子書籍2冊とビデオ講座「アクリル画技法無料講座」を受け取れる
- 中身は、絵の具の選び方、細密に描けるキャンバスの作り方、グラデーション、下絵の転写、筆の選び方、透明色の使い方など
- もっと体系的に学びたい人に、オンライン絵画教室「Next Art College」を案内する。無料講座だけで終えても構わない
- 案内はメールで、期間を区切ったキャンペーンの形で出すことが多い
英会話や料理教室、学習塾の体験授業、SaaSの無料プラン。先に中身を見せて、気に入った人に有料のサービスを案内するのは、どの業界でも使われている売り方です。
ただ、この売り方は、悪質な情報商材でも多く使われてきました。だから、形だけを見て「こういう売り方=詐欺」と受け取られやすい。
型そのものは中立。
むしろ、画家が作品と技術で食べていく道を、この型でネットに広げているのは、アートの分野ではかなり先進的な取り組みだと思います。
「数万円から十数万円」と書かれた価格は、実際には月額9,800円でした
批判記事の一つには、無料講座のあとに「数万円から十数万円にも及ぶ有料プログラム」が待っている、と書かれています。
株式会社ナレッジアーツのNext Art Collegeは、月額9,800円(税込)。ほかにかかるのは決済手数料だけだそうです。令和8年9月時点で22講座・663本の授業があり、在籍中は追加料金なしで受けられます。
退会は、次回の課金日の5日前までにメールで連絡し、送られてくる退会フォームを送信すれば、その月で終了。公式サイトには、特定商取引法に基づく表記も載っています。
ウェブ集客の目線で言えば、価格と解約の方法を先に出しておくのは、申し込み前の不安を減らすための基本。
隠す側の作りではありません。
「詐欺」と書く記事は、集客の型としてはかなりわかりやすいです
ついでに、「岡部遼太郎 詐欺」で出てくる記事の作りも、集客の目線で見てみました。
- タイトルに個人名と「詐欺?」を入れて、名前で検索する人を拾う
- 本文は「口コミによると」「と言われています」で、出典は出さない
- 最後は「相談はLINEから」「優良案件を紹介します」
名前で検索して不安になった人を、LINEに集める型です。
集客の手法としては、むしろこちらのほうが、いわゆる「煽り型」に近い。
どちらが読者を集めるために書かれているかは、並べてみると一目瞭然です。
私がいちばん印象に残ったのは、「他の方の役に立てる」と感じたところでした
12枚売れたとき、岡部遼太郎さんが感じたのは、「個人がウェブで発信して絵を売れると証明できた。この方法なら、他の方の状況も改善できる」ということだったそうです。
自分が売れた、で終わらずに、その方法を仕組みにして人に渡す。
それが、今の株式会社ナレッジアーツのオンライン絵画教室「Next Art College」で、ホームページ制作やSEOの講座が用意されている理由なのだと思います。
受講生の例も、検索とSNSからの集客でした
インタビューでは、受講生の成果も紹介されていました。
三重県津市で画家と絵画教室の講師をしている伊藤亜優子さんは、ホームページを作り直してブログを書きため、検索から問い合わせが入るようになったそうです。生徒さんは40人を超え、月の売上が20万円を超え、その後、生徒さんは50人を超え、収入も月30万円を超えたと報告があったとのこと。
ほかにも、SNS(Threads)の発信から、原画3点が2〜3日で完売した方もいるそうです。
いずれも個人の実績で、成果を保証するものではありません。
それでも、検索から問い合わせ、SNSから販売、という流れは、岡部遼太郎さん本人がたどった道とよく似ています。
教えている中身と、自分がやってきたことが一致している。
集客は会社が引き受けて、描く人は描くことに時間を使う、という発想
もう一つ、ウェブ集客の目線で面白いと思ったのが、ナレッジアーツの役割分担の考え方です。
岡部遼太郎さんは、マーケティングは会社で行い、講師は教室の現場の仕事に専念できる形にしたい、と話しています。マーケティングが苦手な人でも、絵の仕事で独立できるようにするためだそうです。
同じ発想で作られたのが、ナレッジアーツが開発・運営する「Magnel」。教室で受講生を支援するなかで、描けるようになった人が次につまずきやすいのは「発信」だと分かってきたことがきっかけでした。
サーバーやドメインの準備、記事の題材探し、作品写真の掲載、SNSの運用、決済の設定。一つひとつは調べれば分かることでも、やることが多いと手が止まる。本業は制作なので、発信に時間を取られるほど描く時間が減る。
そこで、サイトとSNSの分析、記事と画像の作成、ホームページや販売ページの構築、決済とメルマガ、進捗管理を1つにまとめたそうです。
集客の手間を減らして、制作の時間を守る。
ウェブ集客の目線で、いちばん共感したところ。
まとめると、「1週間で12枚」は、数年かけた集客の結果でした
「1週間で12枚売れた」という話は、切り取ると誇大広告のように聞こえます。
でも、中身を分解すると、毎日の記事、半年かかった月間1万アクセス、失敗したサイト、数年分の勉強とリサーチの上に乗っている話でした。
ウェブ集客の世界では、これを「詐欺」とは呼びません。
普通の、地道な集客です。
派手に断言はしません。
でも、画家が自分の名前でここまで地道に集客をしてきた、という話は、アートの世界ではかなり珍しいのではないでしょうか。
そんなふうに感じた、今回の読書でした。


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